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本間幸夫の漆の仕事
国産の漆にこだわり、漆の精製から木地づくり、塗りと一貫して制作を続ける漆芸家・本間幸夫のWebサイトです。
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幻の塗料 《 金漆 》

金漆という塗料

延喜式に記載のある金漆は、平安時代に途絶えたとされています。その塗料の復元作業に2012年から携わってまいりました。江戸時代には、かの新井白石もこの塗料について書いています。ウコギ科のコシアブラ・タカノツメ・カクレミノのいずれかの樹木の樹液かまたは3本の樹液の総称なのでしょうか。延喜式には年貢として納められていたことが記されていますが、献上した量は漆と違い、はるかに少ないものでした。この樹液を実際に採取してみたところ、漆に比べて採取するのがとても難しいことが分かりました。漆樹液よりもサラサラしており、出てくる樹液をヘラなどで受け、ためていくことが難しいのです。

 韓国では『三国史記』の百済(くだら)本紀に、黄漆(ファンチル)と呼び古来珍重されたとの記述があります。黄漆はウコギ科のタラノキ属の木から採取していたようです(大韓航空 機内誌“Morning Calm”2014年春号 korean culture 神秘的な塗料 黄金色の黄漆より)。韓国ドラマ「ソドンヨ」第16話に百済から隋(ずい)に伝えられた明光鎧(めいこうがい)の技法を盗まれるという話が出てきます。やはり黄漆という木がとても少なくて抽出も難しく、薬剤専用の木と紹介されています。 鎧(よろい)など金属製の武具に塗って金色に光らせ、さび止めや敵を打ち負かすための儀式用装飾として使われていたようです。牛の革に塗った例もあります。多くの資料文献に金漆の記述があるものの、金漆がどの木の樹液かは、まだ特定できていません。

 後述になりますが、私の作品に塗ってみたところ、一見ニスやクリアーラッカーのように見えます。琥珀色で透明感のある塗料は、他にはない神秘的なものとして平安時代の人々に受け止められたのではないでしょうか。しかしながら、この塗料の採れる量は漆に比 べて少なく6分の1以下しかありません。平安時代に途絶えてしまったのは、この量の問題と漆ほどの強い塗膜が得られないことが原因であろうと個人的に推測しています。研究者ではないので、植物学 的また歴史的な部分に誤りがあるかもしれませんが、個人的な見解としてご理解ください。

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